約 3,317,811 件
https://w.atwiki.jp/sukilove/pages/4.html
大見出し 全国少年TOUR 05
https://w.atwiki.jp/dollbook_wiki/pages/344.html
JeNny Golden History 30th aniversary book ジェニー ゴールデン ヒストリー 監修 (株)タカラトミー、(翻訳)JeNny Golden History 制作委員会 発行所 グラフィック社 ISBN 978-4766129601 図鑑 【スレ内感想など】 (14-193) 過去に販売された人形のカタログって感じで、たしかにステキ写真集ではないわ。 コンプリートブック持ってないので比較できないが、 こどもの頃初めて買ってもらった子(バービー)も掲載されていたし、 個人的にP72のトムに吹いたwこういう時代あったわー、と結構楽しく読めたよw なおジェニーエクセリーナ記念本版の申し込みは、2017年3月31日消印有効だったよ (14-194) コンプリブックは未所持の新参ジェニーファンとしては、すごく楽しく読めたよ 幼い頃に見た覚えのある子や、縁あってお迎えしたフレンドドールとか、記憶や現物も見比べて楽しんだ ラブジェニーまで網羅したものが出てくれるとは思わなかったから、すごく嬉しい ○コメント○ ~実際に作ってみての感想やその他この本の情報をお気軽にどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1245.html
Report.09 涼宮ハルヒの復活 土曜日はわたしと彼女で、衣服等を買いに行った。もちろん彼女は、行く時は北高の『女子』制服を着て行った。わたしの私服は、彼女には小さい。 「二人で、行った先で買った服に着替えよ!」 【二人で、行った先で買った服に着替えましょ!】 という彼女の発案で、わたしも同じく制服で出掛けた。 マンションから外に出た時、彼女は潜伏者の存在など、最初から気にしていなかった。 「有希が大丈夫って言(ゆ)うたんやから、間違いないやん!」 【有希が大丈夫って言ったんだから、間違いないじゃん!】 彼女は完全に、わたしのことを信用している。素直に『嬉しい』と思った。 西宮北口駅前のショッピングモールに向かう道すがら、彼女は終始楽しそうな表情をしていた。それは、『SOS団団長』涼宮ハルヒが、何か面白いことを考え付いた時のような、何かを企んでいる表情ではなかった。彼女は純粋に、『少女』涼宮ハルヒとしての表情をしているように見えた。 それは、これまでの常に誰かに見張られているという緊張から開放された反動なのか。あるいはそれが、わたしのことを完全に信じて、心から安心しているからなのか。とにかく彼女は、彼女本来の、素直な表情を浮かべているのだと思えた。 もしその表情の原因が、『長門有希がそばにいること』であったなら、わたしはとても嬉しい、と思う。 駅前のショッピングモールで、まずは服を探す。 「せっかくやし、お礼も兼ねてあんたに似合う服探したるわ!」 【せっかくだし、お礼も兼ねてあんたに似合う服探したげる!】 わたしには、人間の『ファッション』なるものはよく分からないが、何をやらせても器用にこなす彼女のこと。わたしに似合う『おしゃれ』な服なのだろう。 ……今度、ファッション雑誌でも読んでみた方が良いのだろうか。 そんなこんなで、服を買って着替え、様々なものを見て周った。 「有希の部屋に合いそうな小物とか、色々あるな~」 【有希の部屋に合いそうな小物とか、色々あるわね~】 わたしの部屋を彼女色に染める計画が始まった、かもしれない。 散々見て周り、時々買い周ったあと、一階のオムライスの店で少し遅めの昼食を取る。 「ん――――……今日は久々に思いっきり動き回ったわ~」 【ん――――……今日は久々に思いっきり動き回ったわね~】 彼女はデザートのパフェを頬張りながら、心底満足した時の表情で言った。買い物中の彼女の表情は、それはそれは明るいものだった。 「……楽しかった?」 「うん! めっちゃ楽しかった!!」 【うん! すっごく楽しかった!!】 「そう。」 子供のように無邪気な満面の笑顔で答える彼女を見ていると、わたしも釣られて笑ってしまいそうだと思ってしまう。そのような『感情』は、本来持っていないはずなのに。 「!?」 突然、彼女の顔が驚愕の表情に変わった。そして次の瞬間には、照れたときの真っ赤な顔に変わった。 「……なに。」 「……私服のあんたの……笑顔に……ヤられた……」 わたしは釣られて笑っていたようだ。微笑。 「ハルヒが嬉しいと、わたしも嬉しいから。釣られて笑ってしもた。」 【ハルヒが嬉しいと、わたしも嬉しいから。釣られて笑っちゃった。】 「はぅ!? ……有希の生の声……私服で……反則……」 彼女の反応がおかしくて、わたしはついに、くすくすと笑ってしまった。また新たな笑い方を覚えた。彼女は口をぽかんと開けて、うっとりとわたしの方を見ている……見とれている。 今のわたしの状態。これが、いわゆる『ギャップ萌え』というものだろうか。萌え……こうまで人間の精神に大きな影響を与えるものなのか。興味深い。 「どうしたの。」 と、わたしはいつもの平坦な声で問い掛けた。 「……!? はっ!? ……はぁ、はぁ、はぁ……思わずお花畑で三途の川を渡る準備しとったわ……」 【……!? はっ!? ……はぁ、はぁ、はぁ……思わずお花畑で三途の川を渡る準備してたわ……】 「おかえり。」 「昨日今日と、あんたには驚かされっぱなしやわ……調子狂うなぁ……」 【昨日今日と、あんたには驚かされっぱなしだわ……調子狂うなぁ……】 「たまには、ええやん。」 【たまには、良いじゃない。】 と、わたしは片目を閉じながら言った。 彼女がスプーンを取り落とした音が響いた。彼女はスプーンを持っていた時の姿勢のまま目を見開き、口を開けたまま硬直していた。ユニーク。 食後は、かさばる物、重そうな物を買って、帰途についた。と言っても、荷物はそんなに多くはない。女子高生二人が普通に持てる程度の量。 「結構買(こ)うたな~」 【結構買ったわね~】 「……わりと。」 今のわたし達は、周囲からはどのように見えるのだろうか。仲の良い女子高生二人組だろうか? 実際は、仲が良すぎる関係になってしまったが。 マンションの部屋で荷物を降ろし、二人の物を分ける。 「ほな、今日は帰るわ。」 【じゃあ、今日は帰るわ。】 自分の荷物を持って、彼女が戸口で言った。 「今日のデート楽しかったで。」 【今日のデート楽しかったわ。】 デート……やはり今日の買い物はそう定義されるのだろうか。 彼女は、わたしを抱き締めると、そっと唇に口付けをした。別れを惜しむような、でもすぐにまた会えるという確信の篭った、暖かい接吻。 わたしの中に、あるものが湧き上がる。昨日まで『エラー』と呼んでいたもの。 『寂しい』『嬉しい』『切ない』『気持ち良い』『愛しい』『幸せ』 たくさんの『感情』が一度に湧き上がった。 これが……『愛情』なのだろうか。分からない。分からないが、決して嫌いじゃない。この『感情』は、嫌いじゃない…… 「ほな、また月曜日、部室で!」 【じゃっ、また月曜日、部室で!】 「……ばいばい。」 元気に手を振りながら帰る彼女を、部屋の外の廊下で見送った。 「……また、部室で。」 それが、彼女が取り戻したかった生活なのだろう。彼女の仲間と過ごす、彼女の、『SOS団団長』涼宮ハルヒとしての生活。 月曜日になれば、色々するべきことがある。忙しくなる。だから日曜日は、ゆっくりしよう。買ったものを飾りながら、彼女のことを考えよう……彼女とのこれからの関係も。 そして月曜日。いつものように登校する。昼休みには部室へ。すぐに読書を開始する。これがわたしの日常。 一日三食取るという決まりはない。三食取る日もあれば、取らない日もある。必要なエネルギーは、朝食、昼食又は夕食でまとめて摂取してしまっても構わない。単に、周囲から怪しまれないように人前では三食取っているに過ぎない。過ぎなかったが。ふと、彼女と一緒に昼食を取るとどうだろうかという考えが浮かんだ。 例えば、わたしが弁当を用意し、部室等で一緒に食べるのも新鮮で良いかもしれない。彼女の好きな食べ物は何だろうか。嫌いな食べ物はなさそう。卵焼きに砂糖は入れる派だろうか。ちなみにわたしは入れない派。それから弁当に半熟卵は危険。痛みやすい。巨大な重箱に日の丸弁当……は、味気ない。却下。せめて『海苔段々』くらいはしないと。 そのようなことを考えていると、部室の扉が開く音がした。彼女が入ってきた。 「お、やっぱり有希はここにおったんやね。」 【お、やっぱり有希はここにいたのね。】 そう言いながら彼女は部室に入ってきた。そして扉を閉めるとすぐに鍵を掛けた。 「これでこの部室は密室。もう逃げられへんでぇ~」 【これでこの部室は密室。もう逃げられないわよ~】 両手を広げ、わきわきさせながら、怪しい笑顔で彼女は言った。 「学校で……けだもの。」 「いやいやいや、さすがに学校ではせえへんって!」 【いやいやいや、さすがに学校ではしないって!】 彼女は笑いながら言った。 「ちょこーっと、二人でいちゃいちゃするだけ♪ 読書の邪魔にはならへんように……まあ善処するし。」 【ちょこーっと、二人でいちゃいちゃするだけ♪ 読書の邪魔にはならないように……まあ善処するし。】 彼女は一度わたしを立たせると、わたしが座っていた椅子に腰掛けた。 「ほんで、有希はあたしの上に座って。」 【それで、有希はあたしの上に座って。】 わたしが彼女の太ももの上にちょこんと腰掛けると、彼女に後ろから抱かれる格好となった。 「時間まで、有希を抱っこさせてな?」 【時間まで、有希を抱っこさせてよね?】 「……当たっている。」 「当てとぉねん♪」 【当ててんのよ♪】 彼女の腕は、わたしの胸に回されている。時折撫で回されもする。しかしそこには、性的衝動の類は感じ取れない。彼女の脈拍も呼吸も落ち着いている。 体重を彼女に預けてみる。彼女の膨らみがより強く感じ取れる。彼女に強く抱き締められた。暖かく柔らかく、それでいて力強い何かに包まれる感覚。このように密着すると、なぜかとても『安心』する。 これが、人間が肉体接触を求める理由の一つなのかもしれない。もしかしたら、日頃彼女が朝比奈みくるにいたずらをするのは、このような肉体接触への欲求が現れたものなのかもしれない。 つまり、彼女はいつも『不安』。そして『寂しい』。そしてわたしは、そんな彼女の……支え、になりたいと思っている。 おかしい。本来あり得ない、というより、あってはならない考え。 彼女は、観測対象。そしてわたしは観測者。観測者が観測対象に干渉してしまっては、観測結果がおかしくなってしまう。やはりわたしは処分されることになるのだろうか。今は、『彼』の『威嚇』が効いているだけで。あるいは、このようなわたしの行動も含めて、壮大な観測なのだろうか。わたしは観測しているつもりで、実は同じく観測されているのだろうか。 そんな懸念も何もかも、彼女の感触ですべて消えてしまう。無知で無力で脆弱な有機生命体である人間が、とても頼もしく感じる瞬間。それは、肉体を持つ有機生命体にしか感じることのできない感覚なのかもしれない。作り物とはいえ、同じく肉体を持つわたしにも感じることができる。これも人間の、奇妙な魅力。 どちらが甘えているのか分からない奇妙な昼休みも、予鈴と共に終わりを告げる。 「もうちょっとこうしてたいけど、しゃあないな。」 【もうちょっとこうしてたいけど、仕方ないわね。】 そう言うと彼女は、名残惜しそうにわたしを解放した。背中を支配していた感触が消失する。背中が寂しい。わたしも残念。 「ほな、放課後に。いよいよSOS団も今日からは団長も復活や! これまでの遅れを取り戻すで!!」 【じゃあ、放課後に。いよいよSOS団も今日からは団長も復活よ! これまでの遅れを取り戻すわ!!】 彼女は握り拳を固めて宣言した。 団長復活。 いよいよ、本格的に日常が再開する。彼女達と彼達の、わたし達の。 『SOS団』一同の日常が。 放課後。ついにこの時がやってきた。わたしが部室に入ると、既に彼女は所定の位置についていた。 「団員一番乗りは有希かあ。」 『団長』と書かれた三角錐が置かれた、彼女の席。彼女は来るものすべてを真っ向から受け止めようとするかのように、腕組みをしながら真っ直ぐ前を見据えて座っていた。 わたしはいつもの窓辺の席に座って、本を読み始めた。これがわたしの日常。 「こんにちは……!? あ、ああっ!?」 「よっ! みくるちゃん、久しぶり!」 「す、涼宮さん!?」 「いよいよ今日から団長復活や!」 【いよいよ今日から団長復活よ!】 「は、はいっ! あ、すぐに着替えてお茶淹れますね!!」 朝比奈みくるは、手際よく着替えを終え、いそいそとお茶をハルヒに渡す。 「ぷっは~!! いやー、みくるちゃんのお茶飲むんも久しぶりやわ~」 【ぷっは~!! いやー、みくるちゃんのお茶を飲むのも久しぶりだわ~】 ノックの音。朝比奈みくるが返答する。 「おや、これはこれは。いよいよ団長も復活でっか。」 【おや、これはこれは。いよいよ団長も復活ですか。】 「古泉くん、お待たせ! あたしがおらへん間、副団長としてよう働いてくれたわ!」 【古泉くん、お待たせ! あたしがいない間、副団長としてよく働いてくれたわ!】 「いえいえ、それほどでも。何にしても結構なことですわ。」 【いえいえ、それほどでも。何にしても結構なことです。】 古泉一樹は、いつもの爽やかな笑顔で答える。そして更にノックの音。再び朝比奈みくるが返答する。 「うーっす……!?」 「どないしたん、キョン? そんな、鳩が豆で狙撃されたような顔して。」 【どうしたのよ、キョン? そんな、鳩が豆で狙撃されたような顔して。】 「いや……」 と、『彼』はわたしに視線を泳がせた。わたしは『彼』にしか分からないほど小さく頷いた。 「そうか……もう、大丈夫なんやな。」 【そうか……もう、大丈夫なんだな。】 そして『彼』は一言、こう告げた。 「おかえり、ハルヒ。」 多くの言葉は必要ない。SOS団は、この一言で、ついに日常を取り戻した。 「いよいよSOS団も完全復活! まずは団長不在中の活動報告から行ってみよか!!」 【いよいよSOS団も完全復活! まずは団長不在中の活動報告から行ってみましょ!!】 ←Report.08|目次|Report.10→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2761.html
Report.23 長門有希の憂鬱 その12 ~涼宮ハルヒの手記(後編)~ 前回に引き続き、観測対象が綴った文書から報告する。 (朝倉涼子の幻影I) 最近、朝倉が出てくる夢を見る。 最初は変な空間だった。 「ようこそ、涼宮さん。ここはわたしの情報制御下にある。」 朝倉は、意味不明なことを宣言した。と思ったら、おもむろにごっつい軍用ナイフを取り出した。そして、あたしに向けてナイフを構えた。 「ちょ、ちょっと! 何の冗談よ、それ!? 面白くないし笑えないって!」 朝倉はあたしの呼び掛けを完全に無視すると、一直線にあたしを刺してきた。 「……っ!」 あたしは紙一重で、朝倉の攻撃をかわした。 「性質の悪い冗談はやめて! 玩具でも危ないって!」 あたしは叫びながら、あたしを掠めていった朝倉に向き直った。 ……ナニ、コレ。 朝倉のナイフが、何もない空間に突き刺さっているように見えた。 かと思ったら、朝倉のナイフが突き刺さってる辺りを中心に、黒い人型の靄のようなものが現れた。朝倉は、ナイフをその黒い人型の靄に突き刺したまま、靄を払うように振り抜いた。 一刀両断された靄が空気に溶けていった。 ……… …… … なんじゃこりゃ――――!! ってところで目が覚めた。 マジで、何じゃこりゃ? (朝倉涼子の幻影II) 最近、朝倉が出てくる夢を見るっていうことは前に書いたけど、この話には続きがあったのだ。いや、本当に続きなのかどうかは分かんないけど。 内容としては、実は前に書いたことがあった。ここから前のどっかのページに書いてある。その内容は、まあ、その……あたしが朝倉の『ぱんつ』見て喜んでるやつよ。 そこ! HENTAIとか言わない! あたしだって自覚してるんだから! 冗談はさておいて。 前にも書いた内容ではあるんだけど、『ぱんつ』だけなのもアレなので、もうちょっと詳しく書いとこう。 状況としては、こう。 あたしは通学路の途中、あの北高前の長い坂を下り、線路沿いにしばらく行った住宅街にいた。街並みは、あたしが知ってる、見慣れた風景。でも、二つ違う点があった。 一つ。空の色がヘン。一言で言うと、色がない。 二つ。物音がしない。本当に、一切、音がしない。完全な無音。 目の前には、人影が二つ。 人影その1。私服姿の朝倉涼子。両手にはなぜか鉄筋を持っている。 人影その2。覆面姿の超能力者。覆面にはなぜかストッキングを使っている。 そんな二人が、あたしの目の前で戦っている。超能力者が空中に鉄筋を発生させて、朝倉に向けて撃つ。朝倉は、両手の鉄筋で、飛んできた鉄筋を残らず叩き落とすと、そのまま間合いを詰めて超能力者に殴りかかる。超能力者はすぐに自分の手の中に鉄筋を出現させ、対抗する。一進一退の攻防。 ああ、なんて現実離れした夢だろうか、とあたしは目の保養に勤しんでたってわけ。夢の中なのに、妙にリアルだったわね、朝倉のスカートの中身(ちなみに『縞パン』よ)。 しばらく攻撃の応酬が繰り広げられた後、両者は間合いを取って睨み合い。 って書くと、互角のように見えるけど、実は超能力者の方は飛び道具持ってんのよね。撃ち出される鉄筋を叩き落としてる朝倉だけど、だんだん押されていく。そして、調子に乗った超能力者は、大量の鉄筋の雨を朝倉に降らせた。 夢の中なのに、思わず叫んじゃったわ。まあ、朝倉は無事だったけど。さすが夢。 その後もすごかった。 地面に磔にされた朝倉の言葉に、あたしは有希の姿を思い浮かべた。 何ということでしょう。 再び降る鉄筋の雨を爆散させて、長門有希が颯爽と現れたのです。 ……いや、劇的にビフォーアフターしてる場合じゃないって。自分で自分にツッコミを入れてる間に、有希はヌンチャクで超能力者をしばき始めた。……いつも通りの無表情で。 有希……相当怖いって、それ。 だって、考えてみてよ? ぱっと見は可憐で儚げな美少女が、ストッキングで覆面した変態を、無言で無表情のまま、淡々とヌンチャクでどつき回してるのよ! こんなシュールな画には、なかなか遭遇できないわね。 それから朝倉は、これまたイメージぴったりな薙刀を装備。あたしの護衛として大立ち回りを披露してくれた。 はっきり言うわ。 激萌え!! 夢の中の二人は、なぜか息もぴったりで、まるで長年付き合った相棒みたいだと思った。 まるで……姉妹みたいに。 (朝倉涼子の幻影IV) 夢とは、まこと奇怪なものであることよ。 ……古文の直訳風に書き出してみたけど、他意はない。 最近、朝倉が出てくる夢を見るけど、今日のは今までで一番恥ずかしい夢だった。 これを書いてるのは午前五時。あまりの恥ずかしさに目が覚めて、しかもそのまま眠れなくなったってわけ(目が覚めたのは四時頃だったような……うわ、一時間も悶々としてたのか! 重症だ……orz)。 どうにも寝付けないし、悶々として身悶えして仕方がないので、文章を書いて気持ちを落ち着けようと試みるテスト。 ああ、やっぱり動揺してるな。日本語おかしい。「試みる」と「テスト」って、意味一緒やん! ……よし。大分落ち着いてきた。落ち着いてこー! ああもう。いい加減話を進めよう。書き出してしまわないともう、おかしくなりそうだし。 まず場面を説明するわ。 この夢は、この間見た夢と繋がっているのかいないのか、よく分からない状況。ただ、なんかやたら長い、どこかで見たような包みが壁に立て掛けてあったから、多分続きものじゃないかと睨んでる。 壁、ってことでも分かるように、場所は室内。て言うか部室。 登場人物は、朝倉、有希、みくるちゃん、古泉くん、キョン、それから……喜緑さん? 生徒会役員の。あのクソ生徒会長と一緒に現れた人。SOS団に恋人の捜索依頼をしてきたこともあったわね。 状況は、部室で、あたしと有希が話してて、というか、あたしが有希に語りかけてて、それを登場人物全員に見られてるところ。 こんな大勢の人間に見られながら、あたしは……うわー、やっぱり恥ずかしい! 自分でも分かるくらい、顔が熱い。多分、真っ赤になってるんだろうなあ。でも、これを書かなきゃ、多分ずっとこの顔と身体の熱さは治まらないわ。 こんな衆人環視の状況で、あたしは、有希に、激しく、 告 白 し た キ ス し た ……… …… … ぎゃぽ――――!! 死ぬほど恥ずかしい!! ――30分経過。ようやく落ち着いてきたので再開。 あれから30分、あたしは布団でずっとごろごろ転がってた。ていうか、身悶えてた。あひー、とか奇声を発しながら。……こんな姿、人には絶対見せられないな。 夢の話の続きは…… あ゛――――! ダメ! 無理! もうこれ以上詳しく書けない! 書いたら死んじゃう! でも書かないとやっぱり恥ずかしくて死んじゃう! ギリギリ書ける範囲で書いてみることを試みると、次のようになる。 あたしは有希を正面から見据えた。そして、有希に出会った日からの、あたしと有希の思い出を語った。 最初はやけに無口で変わった娘だと思っていたこと。それがだんだん、どうすれば仲良くなれるかというものに変わっていったこと。文化祭の思い出。体育祭の思い出。雪山の冬合宿。バレンタインデー攻略計画。 要は、あたしの「愛の告白」が延々と続いてたってわけ。 おお、これだけ端折って書くと、書けるもんね。 しかし、ありえない。夢だから、で説明は付くけど。 それにしても、おかしすぎる。違和感ありまくり。どこに違和感を覚えるかって、そら、女が女に告白してる時点でツッコミ入れるやろ! ってなもんだけど、そこだけじゃない。何というか、夢にしては、そしてありえない情景にしては、妙に現実感があることか。 今でも、こう、抱き締めた時の有希の感触とか……うわー! 不用意に書いたら、感触が蘇ってきた――――! 落ち着け落ち着け……こんせんとれーしょん……って、それは「集中」! アホなこと書いてないで、先に進めよう。 さて。このやたらと恥ずかしい夢は、困った事に、非常に現実感があるのだ。なぜなら、夢の中で有希に熱く語った、あたしと有希の思い出が、どれも実話だからだ。 思い出だけじゃない。あたしの、有希に対する「想い」もまた、現実にあたしが有希に感じてる想いをいろいろと加工したら、わりと無理なく得られるくらいに「それっぽい」のだ。 つまり。 あたしは、有希のことが好き? ……ということは、これはあたしの願望っていうこと? いつか、有希に告白したい。そしてOKを貰いたいっていう、信じられないような願望だと? ありえなーい。 はあ。明日からどんな顔して有希に接したら良いんだろ? まともに顔見られないかも。 そうだ。試しに有希に抱きついてみて、感触を確かめてみようか。それで「現実は違う」って納得しよう。 ……なんてね。アホか、あたしは。 翌日。……結局実行してしまった。アホや、あたしorz えー、抱き締めた有希の感触は、小さくて、柔らかくて、正直たまりませんでした…… って、違う、そうじゃなくて。 驚いたことに、夢の中と同じ感触だった。 すぐに抱き比べ(!)てみたけど、やっぱりみくるちゃんとは違う感触。主に胸とか。 いやー、有希ってば、やっぱりちっちゃくて可愛いなぁ~! でも身長は、実はみくるちゃんの方が若干低いのよね。あの巨乳で分かりにくいけど、みくるちゃんの方が、本当は小柄なのよね。抱き締めても、全然そうとは思えないけど。 有希の方が、胸とか小振りで、なんていうかイメージぴったり? って感じ。 みくるちゃんのは「手から溢れ出す」って感じだけど、有希のは「手に収まる」って感じかな。小柄な身体と小振りな胸を、あたしの身体と掌でしっかり掴めるというか。 ……とにかく、みくるちゃんの感触を夢で再生してたわけじゃなかった。 何であたしは、有希の抱き心地を知ってたんだろう。まだ抱いたことなかったはずなのに。まさか予知夢? って、「抱いたことない」って、なんか変な意味にも取れるわね…… うーん…… 考えれば考えるほど、分からないや。 【ここから先は、涼宮ハルヒがすべてを思い出した後の話。】 (涼宮ハルヒの混乱) あたしは今、猛烈に困惑している。 何コレ。 「コレ」とは、今この文章を書いている、この日記帳、『涼宮ハルヒの手記』のことよ。 もう一度問う。何コレ。 この手記に書いてある文字は、確かに、あたしの字だ。でも、あたしはこんな手記の存在を知らない。でも、何となく書いた覚えがある。 そしてその内容が、ますますあたしを困惑させる。とても信じられない内容だわ。ぶっちゃけ、ありえない。 だって、だってよ。 あたしが、有希のこと、その……「好き」だなんて。しかも、有希と、その……「一線越えちゃってる」なんて。 あー、やばいやばい。書いてて顔が熱い。いや、全身か。 落ち着いて考えてみなさいよ? あたしと有希は、女の子同士。 そりゃ、あたしだって、有希と仲良くしたいとは、思うわよ? あの娘、いつも無口で無表情で、ちょっと変わってるところはあるけど、ああ見えてうちのSOS団随一の万能選手なんだから。団長たるあたしも鼻が高いってもんだわ。それに、確かに有希は、よく見るととても整った顔立ちで、色白で……儚げな中にも、可憐さと凛々しさが同居してる、そんな不思議な魅力があることは認めるわ。 でも、だからって、有希と……「肉体的に」まで仲良くなりたいとは、さすがに思わないわ。 だから、ありえない。それこそ、精神病の一種だわ。 落ち着け、あたし。こんなときは素数を数えるのよ。 1,2,3……しまった、1は素数じゃないわ。 (涼宮ハルヒの決心) さてと。前のページでは、あのように書いたけど。前言を撤回するわ。 この手記を見付け、読み終わって、前のページを書いてからしばらくの間。 あたしは、心を落ち着けるために、しばらくぼーっとしてた。 物事を考察するに当たっては、先入観や固定観念は最大の障害となる。だから、心を空っぽにするために、ひたすらぼーっとしてた。ある意味放心状態よね。そうやってしばらく放心して、明鏡止水のような心境になって、あたしは再び考え出した。 そうしたら、思い出した。 間違いない。この手記は、あたしが書いたものだわ。朧ながらも、あたしがこれを書いていた頃のことが思い出されてきた。 それと共に、ある「想い」も、思い出した。 あたしは、有希が好き。 まさか自分がこんなことを思ってたなんて、信じたくない、認めたくないけど、もう言い逃れはやめることにするわ。だって、自分の心にはいつまでも嘘をつき続けられないんだもの。 自分の心に嘘をつくのをやめた途端、色々なことが一気に思い出された。 何てことかしら。 あたしは、こんなにも、有希のことが好きだったなんて。 それに……有希と、その……ヤっちゃったのも本当のことだ。 うわ、恥ずかしい! 有希ったら、あんなことやこんなことを…… いや、そもそも、先に手を出したのはあたしなんだけどさ。 てことは、自業自得か、あたし? あたしは、決めた。もう迷わない。もう忘れない。 あたしは、有希のことが好き。 この気持ちは、まだ明確に伝えてないかもしれない。あの告白が夢だったとしたら。夢じゃないかもしれないけど、それならそれでもう一度、想いを伝えたって良いはずだわ。 だからあたしは、有希に手紙を書くことにした。この際だから、この手記ごと見せるわ。 有希、読んでね。あたしのこれまでの、そしてこれからの気持ちをさ。 (涼宮ハルヒの手紙) 有希に読んでほしいこと。 ここまで読んで、あたしはどんなことを思っていたのか思い出した。 不思議なことに、今まで何となく感じていた、心の一部が抜け落ちたような感覚が治まった。まるでパズルのピースがはまるように、抜け落ちていた部分がぴったり埋まったような気がする。 この「手記」を読むに、あたしは色々と大事なことを忘れていたらしい。 あたしの身に何かが起こったのだろうか? その辺りは今でもまだ思い出せない。でも、ある日を境に、心から何かが抜け落ちたような気がしていた。 今なら分かる。その時「何か」があって、あたしはある大切な想いを忘れてしまった。 自分で忘れていたのなら、自分の不甲斐なさを恥じるしかない。でも、なぜかそうじゃない気がする。あたしは、何者かにその想いを忘れさせられたのだと感じている。これは何かの陰謀かもしれない。 とにかく、今はそのことはいい。思い出せた事実の方がずっと大切だから。 思い出した想いを、改めてここに記す。もしもまた、忘れたり忘れさせられたりするようなことがあっても、すぐに思い出すことができるように。 有希へ。 あたしはあんたを愛してる。 あたしもあんたも女の子だけど、そんなことは関係ない。 いろんな意味で、あんたが好き。大好き。 だからあたしは、あんたがいなくなった時、とても寂しかった。苦しかった。 そして、もう二度とあんたを失いたくないって思った。 それなのに、この気持ちを忘れていたなんて、どうかしてる。本当にごめん。 この気持ちを忘れないように、想いを文字にしてここに記す。 願わくば、もう二度とこの気持ちを忘れることがないように。 願わくば、もう二度とあんたを失うことがないように。 そして――願わくば、あんたとずっと一緒にいられますように。 涼宮 ハルヒ 【ここまでが、その時にわたしが見た手記の内容。その後、次の部分が涼宮ハルヒ自身の手によって新たに書き加えられた。】 追伸 有希はあたしの嫁。 「嫁」と書いて「ともだち」と読む。 ←Report.22|目次|Report.24→
https://w.atwiki.jp/ffbe_report/pages/16.html
1レス目 !extend checked vvvvvv 1000 512 !extend checked vvvvvv 1000 512 ↑!extend checked vvvvvv 1000 512 スレ建ての際は!extend checked vvvvvv 1000 512三行書いてください、建てると一行消えます ■公式サイト http //www.jp.square-enix.com/FFBE/sp/ FINAL FANTASY BRAVE EXVIUSの不当表示、有利誤認など消費者庁に通報するスレです。 スレの目的は【不誠実な運営の改善】です。 問題点については 2以降、次スレは 970が立てて下さい。 テンプレ保存庫https //www65.atwiki.jp/ffbe_report/ ■通報リンク ☆スクウェア・エニックスアカウント(スクエニへ連絡したい場合) http //support.jp.square-enix.com/main.php?id=450 la=0 ☆消費者庁 表示対策課 景品表示法違反被疑情報提供フォーム http //www.caa.go.jp/representation/disobey_form.html ☆公正取引委員会 相談・届出・申告窓口一覧(ページ下部参照) http //www.jftc.go.jp/soudan/madoguchi/index.html ☆JARO 公益社団法人 日本広告審査機構 http //www.jaro.or.jp/ ☆一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)情報提供フォーム https //f.msgs.jp/webapp/form/18580_qmbb_1/index.do ■前スレ 【詐欺ガチャ】FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS消費者庁通報スレpart2【FFBE】 http //krsw.2ch.net/test/read.cgi/ff/1486910073/ 2レス目 FFBE詐欺ガチャ問題 3~4レス目 消費者庁通報テンプレ 長いので 【Q5.その表示内容】までを3レス目に 【Q6.表示から受けた印象 ※必須入力】以降を4レス目に ☆それぞれ頭に【通報テンプレその1】【通報テンプレその2】 と入れると分りやすい、忘れたらしょうがない 5~6レス目 Google/Appleへの連絡はこちら 7レス目 現在に至るまでの流れなど テンプレ以上!お疲れ様です!
https://w.atwiki.jp/longboxman/pages/48.html
コミックブックにおける政治性の研究 アメリカではコミックブック(特にスーパーヒーローコミックス)と政治的な現実とのかかわりを論じた本はすでに何冊も発売されており、私の手許にもおもに第二次大戦から冷戦期のコミックブックのテーマを現実の社会的変化と関連させて論じた『COMMIES, COWBOYS, AND JUNGLE QUEENS Comic Books and America, 1945-1954』(William W. Savage, Jr.、Wesleyan University Press刊)や冷戦期アメリカのポップカルチャーにおける反共プロパガンダをまとめて論じた『RED SCARED! The Commie Menace in Propaganda and Popular Culture』(Michael Barson and Steven Heller、Chronicle Books刊)など何冊もある。中でも以前*紹介した『Comic Book Nation The Transformation of Youth Culture in America』(Bernerd W. Wright、Johns Hopkins University Press)はやはり群を抜いてすばらしい。 まず先に発売されたハードカバー版を買ったのだが、ペーパーバック版に「9-11」以降を論じた新章「Spider-Man at Ground Zero」が追加されたのを知ってけっきょくこっちも買ってしまった。最初からペーパーバックを待てばよかったのだが、研究書の類は情報も限られるし、ペーパーバックにならないタイプの本も多いしで、ほぼめくら買い状態なのでどうしようもない。最近さすがにだいたい中身がわかって買っているが、買い始めた当初などはほとんどどういう本なのかもわからずにオーダーを出していた。 もともと社会学部出身だったりするので、美術系の表現論の類よりどっちかというとこういうテーマの研究のほうが趣味的に好きなのだが、個人的にはこの種の研究に関してははっきりいって日本のマンガ研究は量的にも質的にもアメリカの足元にも及ばないと思う。もともとさほど日本のマンガ評論を買っているわけではないが、手許にあるのは夏目房之介『マンガと戦争』(講談社現代新書)くらいなもので、他にも何冊か「戦争とマンガ」の関係を論じた評論があるのは知っているが、逆にいうと評論だけで、まとまったテマティックな研究は寡聞にして知らないし(たぶん宮本大人の現在の研究がまとまればそういう性格を持つのだろうが)、テーマ的にも戦争、それも第二次大戦、敗戦、原爆体験などにほとんど限定されている。 夏目の前掲書は朝鮮戦争やベトナム戦争の影響を論じているが、冷戦との対応でマンガのテーマがどう変わったかというようなオーバーグラウンドな視点のものではないし(それが悪いということではなく単に「そうじゃない」)、バブル経済や戦後のGHQ体制、あるいは生活の欧米化といった社会の変化と作品との関連はしばしばマンガ評論の中で批評的に指摘はされるのに、具体的にそうした視点に沿って作品のテーマの変化を追うような評論はほとんどない。 べつにないから悪いといいたいわけではなく、単にアメリカには豊富にあるのに日本にはほとんどない。民族性として日本ではそういうアプローチが好まれないということなのかもしれないが、それもどうでもいい。私がいいたいのは「子供の読むもの」としてコミックブックがバカにされているアメリカで、にもかかわらず案外シリアスに「コミックブックの中に浮き彫りになった政治性」は継続して研究され続けてきた、ということだけだ。 同様にこれは「だからアメリカはえらい」という話でもない。 もともとスーパーマンやキャプテンアメリカといったスーパーヒーローたちはその存在自体が一種の記号的な意味を帯びている。キャプテンアメリカならそれは「Patriotism(愛国心)」だし、スーパーマンの場合もその存在は「Trueth, Justice, American Way(真実、正義、アメリカンスピリット)」と結びつけて語られる。彼らは「手塚治虫とアトム」のような特定の作家との緊密な結びつきを欠く代償のように、アメリカ社会の中のある特定の価値観を象徴する存在になっている。 アメリカ人にとってこうしたスーパーヒーローのあり方はほとんど暗黙の了解事項であり、だからこそその存在はストレートに政治的な現実と結びつけて論じられもする。その議論自体も『the daily Standard』や『Free Republican』みたいなガチガチの保守層による「最近のスーパーヒーローのリベラルぶりはいかがなものか」みたいな話(最近だと a href="http //www.weeklystandard.com/Content/Public/Articles/000/000/005/181egxmv.asp?pg=1" 「Marvel Comics and Manifest Destiny」 /a なんてのがそれ)から、アメリカのコミック業界支援NPO「 a href="http //www.comicarts.org/index.php" ICAA(International Comic Art Association) /a 」の支援を受け、たぶんカルチャラルスタディーズ系のポップカルチャー研究団体「 a href="http //www.h-net.org/%7Epcaaca/2005/index.htm" PCA/ACA /a 」の下部組織である「 a href="http //www.comicsresearch.org/CAC/" comic art Comics /a 」部会のオフィシャルな研究プロジェクトとして展開されている「 a href="http //captionbox.net/eeb/" Ever-Ending Battle - Superheroes /a 」なんていう完全に学問的なものまでさまざまだ。 最近はBlogを使って展開されている試みもあって「 a href="http //www.comicbookpolitics.com/" Comic Book Politics /a 」はコメントとトラックバックの機能をフルに使って、コミックス系のBlogで展開されている『Dark Knight Returns』、『Watchmen』、『Kingdom Come』などといった作品にたいする論考を相互にリンクし、そこからさらにこのBlogのエントリ、コメントでそれぞれの作品に対する議論を展開していこうとしている。 私個人は「議論するためにBlogを書く」なんてことは正直アホくさいと思うが(つーか議論するためには、最低限議論するもの同士のテーマに対する手持ちの情報量がイーブンか、それに近い状態じゃないと成り立たないと思う)、アメリカでのこうした動き自体はおもしろいと思う。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1200.html
Report.03 涼宮ハルヒの認識(中編) 翌日。わたし達は涼宮ハルヒに学校で出会うことはなかった。 朝の地域版ニュース、新聞の地方面、すべてがある話題で持ち切りだった。 『お手柄女子高生、犯人逮捕』 そんな見出しが、新聞に躍る。その「お手柄女子高生」は、実名で報道されている。 『涼宮ハルヒ(17)さん=西宮市、写真』 紙面は、昨夜たまたま歩いていた涼宮ハルヒに暴行しようとして襲い掛かった変質者を、彼女が返り討ちにして警察に通報、御用となったと、情報に濃淡はあれど一様に伝えていた。 わたしは昨夜の事件発生時点で把握していたが、普段は接続していない情報統合思念体から強制通信で、『彼』の動向に注意を払い、わたしが最善と考える行動を取る様に指示があった。 こんなことは初めてだった。 もちろん情報統合思念体の接続を切っていること自体、初めての経験なので、当たり前といえば当たり前だが、接続を切ってから、わざわざ情報統合思念体から強制通信で指示があったのは初めて。 最初に涼宮ハルヒが宣言した通り、涼宮ハルヒとSOS団の名前は一気に広い地域に知れ渡ることになった。北高前には大勢の取材陣が詰め掛け、大混乱となっていた。 「押さないでください! 道を開けてください!」 急遽配置された教員が声を張り上げ、生徒達を校内に誘導する。生徒が通るたびに大量のフラッシュが浴びせかけられ、記者とマイクが殺到する。 「同じ学校の生徒さんがお手柄ですね! あなたはどう思いますか!?」 ある者は驚き立ちすくみ、ある者は表情を硬くして俯きながら、教員に誘導され校内へ入って行く。 ――校長がコメントを出さないと、混乱が収まらない―― そう判断した学校側は、校門横で校長本人が対応し、取材陣を引き付けて混乱を収拾することにした。 「えー、この度は我が校の生徒の勇敢な行動により……」 この時ばかりは、生徒達は校長の話が長引くことを祈ったかもしれない。 取材陣の殺到、その様子に集まった野次馬達。それら人波による混乱は、涼宮ハルヒ宅前が最も凄まじかった。 「お手柄ですね、涼宮さん! なにか一言を!」 「当然の結果よ! まったく、アホな変質者やで~! この私を襲おうとしたのが運の尽きや!」 【当然の結果よ! まったく、バカな変質者だわ! この私を襲おうとしたのが運の尽きよ!】 『うおおお……』 野次馬からどよめきと拍手が沸き起こり、取材陣と、ついでに野次馬から大量のフラッシュが浴びせられる。涼宮ハルヒは満面の笑みでそれらを一身に浴びていた。 「さて、学校があるから、話は歩きながらでもええかな?」 【さて、学校があるから、話は歩きながらでも良いかな?】 こうして、さながら大名行列か内閣総理大臣の記者質問のように取材陣と野次馬を引き連れて、涼宮ハルヒは登校した。取材陣から投げかけられる様々な質問に、次々と答えていく。涼宮ハルヒはこの状況に酔っていた。普段の満面の笑みが100Wだとすると、さしずめ1kWの笑顔で教室へ向かった。 涼宮ハルヒはまだ気付いてはいなかった。いや、知る由もなかった。人の好奇心が、時に残酷に人を傷付けることを。 涼宮ハルヒが北高の伝説にまた一つ名前を刻んだこの日、彼女は部室に来ることはなかった。 「えらいことになったなぁ……」 【すごいことになったなぁ……】 『彼』はやれやれ、を通り越して何と表現すれば良いのか分からない顔で言った。 「いやぁ、昨日の時点で、犯人の近くに涼宮さんがおることは把握しとったんですが、『機関』の決定は、『涼宮ハルヒに捕り物をさせて満足させる』やったもんで、手ぇ出せんかったんですわ。まぁ、彼女の望み通り、犯人を捕まえて一躍時の人になりましたからな。こちらとしては『バイト』が当分無くなりそうで、万々歳ですわ。」 【いやぁ、昨日の時点で、犯人の近くに涼宮さんがいることは把握していたんですが、『機関』の決定は、『涼宮ハルヒに捕り物をさせて満足させる』だったもので、手が出せなかったのですよ。まぁ、彼女の望み通り、犯人を捕まえて一躍時の人になりましたからね。こちらとしては『バイト』が当分無くなりそうで、万々歳ですよ。】 古泉一樹が肩をすくめる。 「俺としては、今日には例の件を片付けたいと思(おも)とったけど、とてもそんなことできる状態違(ちゃ)うしな……どうしたもんか。」 【俺としては、今日には例の件を片付けたいと思ってたけど、とてもそんなことできる状態じゃないしな……どうしたもんか。】 「事の成り行きを見守る、でええんちゃいますか? 当分涼宮さんの精神状態は閉鎖空間を生み出す状態にはならへんでしょうし、なに、人の心は移ろいやすいもんやさかい、どうせすぐにいつもの日常に戻りますよって。」 【事の成り行きを見守る、で良いのではないですか? 当分涼宮さんの精神状態は閉鎖空間を生み出す状態にはならないでしょうし、なに、人の心は移ろいやすいものですから、どうせすぐにいつもの日常に戻りますよ。】 「そうなればええんやけどな。」 【そうなれば良いんだがな。】 『彼』は窓の外を見ながら、そう呟いた。 涼宮ハルヒへの取材はますます過熱していった。 最初は、『お手柄女子高生』だった。その日の昼には『お手柄美少女女子高生』に変わっていた。こうなると、人々の興味は『美少女女子高生』の私生活に移っていく。 まず、現在の涼宮ハルヒの生活として、『謎の部活「SOS団」の団長』が紹介された。しかし、このSOS団は学校側非公認であるため、学校側からの情報は得られない。生徒からも、『謎の活動』という情報しか得られないため、すぐに人々の興味から外れた。 次に、涼宮ハルヒのSOS団以外の学生生活に取材が進むと、世間の興味を大いにそそる事となった。すなわち、入学初日の涼宮ハルヒの自己紹介等、彼女の奇矯な振る舞いの数々。 『ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。』 涼宮ハルヒの呼称は『美少女女子高生はオカルトマニア』となった。 そして、涼宮ハルヒの中学時代のエピソード、特に『告白されても断らず、すぐに破局したこと』が紹介されると、世間の評判の方向性が決定付けられることとなった。 『オカルト女子高生はヤ○マンだった!』 『美少女は百合ゲラーがお好き』 週刊誌、スポーツ誌等がこぞって書き立てる。 当初は嬉々として取材に応じていた涼宮ハルヒも、この頃になると、 「うるさい!」 「写真撮んな!」 などと、取材を嫌がるようになっていた。その態度が取材陣をさらに煽る。 『ヤ○マン女子高生は変質者がお好き』 『哀れ変質者、オカルト女に貞操を散らす』 ネットワーク上では、巨大掲示板群に専用スレッドが立ち、涼宮ハルヒの顔写真を使ってグレイ形宇宙人と性交しているコラージュ等が作成され、「SS」と呼ばれる長短様々な小説風の文章が、無数の書き手によって多数掲載された。特に涼宮ハルヒをいじめるSSと、様々な人や人以外のありとあらゆる存在と性交させるSSは、それぞれ一つのジャンルとして、スレッドが乱立するほど人気となった。 この頃になると、日本各地から涼宮ハルヒの元を直接訪問し、宇宙人等の扮装をして告白してからかう行為や、怪談風、猥談風などいたずら電話を掛ける行為がしばしば見られるようになった。 涼宮ハルヒは次第に彼らの相手をしなくなったが、そうなるとますます彼らはいきり立ち、涼宮ハルヒに反応させようと、行動はますます過激になっていく。 たまりかねて涼宮ハルヒが反応すると、その様子が詳細に電子掲示板に書き込まれ、 『さすがハルにゃん!』 『モノが違うぜ……』 こう返すのが、ネットワーク上での定形文となった。 ついに涼宮ハルヒは、ネットワークを通して、無数の『好奇心』の観察対象となった。 涼宮ハルヒはあの日以来、部室に姿を見せなくなった。いや、部室に行けなくなった。 今や涼宮ハルヒはネットワーク上に多数存在するむき出しの好奇心の観察対象であり、どこに監視の目が潜んでいるかも分からない状態と自身は認識していた。自分に関わりがあると知れれば、他の団員も巻き添えにしてしまうと考えての行動だった。もちろん土日も不思議探索は行っていない。涼宮ハルヒは休日は自宅に引きこもっていた。 実際、涼宮ハルヒはその奇矯な振る舞いの過去ゆえに、何をしてもネットワーク上のむき出しの好奇心たちの関心を引き、それらを喜ばせる『燃料』を提供する存在となっていた。また、それに伴い表面上は気丈に振舞っているが、閉鎖空間の発生頻度、規模ともに増大した。古泉一樹も、ここ数日は『バイト』のため、学校にすら姿を見せていない。 「あたしにできるのは、これだけですから……こんなときやからこそ……こうやって、いつものようにみんなが揃うのを待ちたいんです……」 【あたしにできるのは、これだけですから……こんなときだからこそ……こうやって、いつものようにみんなが揃うのを待ちたいんです……】 朝比奈みくるは寂しげな笑顔で、今日も部室でお茶を淹れている。『彼』と、わたしと、朝比奈みくるの三人だけしかいない、団長不在の部室。 これがここ数日の部室の日常風景となった。 あの日から三週間が経っていた。 放課後の部室。『彼』がわたしに話しかけてきた。 「なあ、長門。その、頼みがあるんやけど……」 【なあ、長門。その、頼みがあるんだが……】 『彼』は恐る恐る口を開いた。 「こんなこと俺が頼むんは、正直どうかと思うけど、でも、どうしても頼みたい。今回の一件、なかったことにとは言わへん。それでは意味もないし。でも、あまりにも影響が大きすぎる。ハルヒも十分思い知ったことやと思うし、その、もうそろそろこの異常な状態を終わらせられへんか? ……情報操作で。」 【こんなこと俺が頼むのは、正直どうかと思うけど、でも、どうしても頼みたい。今回の一件、なかったことにとは言わない。それでは意味もないし。でも、あまりにも影響が大きすぎる。ハルヒも十分思い知ったことだと思うし、その、もうそろそろこの異常な状態を終わらせられないか? ……情報操作で。】 わたしは『彼』を見つめる。 「今回のことは、ハルヒにとって、良い薬になった。自分が他人にしたことと同じことが、何倍にもなって自分に跳ね返って来たんやからな。あいつにとって、人として成長するための良い経験になったと思う。でも、さすがにもうこれ以上は見てられへんわ。閉鎖空間がどうこうとか、そんな話違(ちゃ)うねん。良い経験とは言(ゆ)うても、これ以上続くんはあんまりやろ? これは、人として、友人として、ハルヒを思う俺の気持ちや。長門、お前もハルヒの友人として、あいつを助けてやってくれへんか?」 【今回のことは、ハルヒにとって、良い薬になった。自分が他人にしたことと同じことが、何倍にもなって自分に跳ね返って来たんだからな。あいつにとって、人として成長するための良い経験になったと思う。でも、さすがにもうこれ以上は見てられねえ。閉鎖空間がどうこうとか、そんな話じゃないんだ。良い経験とは言っても、これ以上続くのはあんまりだろ? これは、人として、友人として、ハルヒを思う俺の気持ちだ。長門、お前もハルヒの友人として、あいつを助けてやってくれないか?】 『彼』は手を合わせてわたしに頼み込む。 「……わかった。」 「ほんまか!?」 【本当か!?】 「ただし、わたしの独断で実行するわけにはいかない。情報統合思念体に許可を求める。許可が下りない場合、あなたの希望には応えられない。」 「ああ、それは分かっとぉから。」 【ああ、それは分かってるから。】 わたしは情報統合思念体と交信する。 「……許可が下りた。」 わたしは立ち上がり、言った。 「今殺到している人々が涼宮ハルヒへの興味を失うように情報操作を行う。」 「ああ、頼む。」 わたしは情報操作を開始した。 「……………………」 わたしは『彼』に向き直る。 「お、おい……どないしてん長門? 何でそんなに驚いた顔しとぉ!?」 【お、おい……どうしたんだ長門? 何でそんなに驚いた顔してる!?】 『彼』はわたしの微細な表情の変化がわかるらしい。あるいは、誰にでも分かるほどはっきりと、わたしの顔は驚きの表情を浮かべていたのだろうか。 「……信じられない。情報操作が弾かれた。」 「何(なん)やて!?」 【何だと!?】 「何度も情報介入を行ったが、すべて無効化された。」 「何(なん)でや……」 【何でだ……】 心当たりはある。 「恐らく涼宮ハルヒの意思。彼女は現状をありのまま受け入れることを望んでいると思われる。」 「マジか……」 「今の言い方は正確ではなかった。より厳密に言うと、一部を除いて現状をすべて受け入れたいと望んでいると思われる。」 「……その一部ってのは、何(なん)や?」 【……その一部ってのは、何(なん)だ?】 わたしは部室のパソコンを指差した。 「ネットワーク上に存在する、涼宮ハルヒの身元を特定できる個人情報。」 「! ……そういうことか……」 『彼』は納得した顔で言った。 「現在、ネットワーク上には、人間が『まとめサイト』と称する、今回の一連の出来事をまとめたwebサイトが構築されている。そこには人類の好奇心を満たすための様々な情報が集約され、世界中から参照できる状態になっている。直接身元を特定できる情報は掲載されてもすぐに削除されるが、一度ネットワーク上に情報が掲載されれば、すぐに無限に複製される。よって、一度ネットワーク上に存在した情報を消去するのは、人間には事実上不可能。半永久的にネットワーク上に情報が残ることになる。涼宮ハルヒの意思の影響は、このネットワーク上の情報については薄い。事実を正確に知れば、ネットワーク上の情報は消去したいと思うようになる可能性が高い。その時に情報介入すれば、消去できる。現実世界の状況は、涼宮ハルヒの意思が変わらない限り介入は不可能。」 「…………」 『彼』は沈黙を保っている。 「たぶん、へいき。」 わたしは言った。 「人間の興味の対象はすぐに変わる。あなた達の言葉に、そのような意味の格言があったはず。」 以前に本で見かけた。 「『人の噂も七十五日』。違う?」 わたしはそう言うと、首を傾げた。 ←Report.02|目次|Report.04→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1233.html
Report.03 涼宮ハルヒの認識(中編) 翌日。わたし達は涼宮ハルヒに学校で出会うことはなかった。 朝の地域版ニュース、新聞の地方面、すべてがある話題で持ち切りだった。 『お手柄女子高生、犯人逮捕』 そんな見出しが、新聞に躍る。その「お手柄女子高生」は、実名で報道されている。 『涼宮ハルヒ(17)さん=西宮市、写真』 紙面は、昨夜たまたま歩いていた涼宮ハルヒに暴行しようとして襲い掛かった変質者を、彼女が返り討ちにして警察に通報、御用となったと、情報に濃淡はあれど一様に伝えていた。 わたしは昨夜の事件発生時点で把握していたが、普段は接続していない情報統合思念体から強制通信で、『彼』の動向に注意を払い、わたしが最善と考える行動を取る様に指示があった。 こんなことは初めてだった。 もちろん情報統合思念体の接続を切っていること自体、初めての経験なので、当たり前といえば当たり前だが、接続を切ってから、わざわざ情報統合思念体から強制通信で指示があったのは初めて。 最初に涼宮ハルヒが宣言した通り、涼宮ハルヒとSOS団の名前は一気に広い地域に知れ渡ることになった。北高前には大勢の取材陣が詰め掛け、大混乱となっていた。 「押さないでください! 道を開けてください!」 急遽配置された教員が声を張り上げ、生徒達を校内に誘導する。生徒が通るたびに大量のフラッシュが浴びせかけられ、記者とマイクが殺到する。 「同じ学校の生徒さんがお手柄ですね! あなたはどう思いますか!?」 ある者は驚き立ちすくみ、ある者は表情を硬くして俯きながら、教員に誘導され校内へ入って行く。 ――校長がコメントを出さないと、混乱が収まらない―― そう判断した学校側は、校門横で校長本人が対応し、取材陣を引き付けて混乱を収拾することにした。 「えー、この度は我が校の生徒の勇敢な行動により……」 この時ばかりは、生徒達は校長の話が長引くことを祈ったかもしれない。 取材陣の殺到、その様子に集まった野次馬達。それら人波による混乱は、涼宮ハルヒ宅前が最も凄まじかった。 「お手柄ですね、涼宮さん! なにか一言を!」 「当然の結果よ! まったく、アホな変質者やで~! この私を襲おうとしたのが運の尽きや!」 【当然の結果よ! まったく、バカな変質者だわ! この私を襲おうとしたのが運の尽きよ!】 『うおおお……』 野次馬からどよめきと拍手が沸き起こり、取材陣と、ついでに野次馬から大量のフラッシュが浴びせられる。涼宮ハルヒは満面の笑みでそれらを一身に浴びていた。 「さて、学校があるから、話は歩きながらでもええかな?」 【さて、学校があるから、話は歩きながらでも良いかな?】 こうして、さながら大名行列か内閣総理大臣の記者質問のように取材陣と野次馬を引き連れて、涼宮ハルヒは登校した。取材陣から投げかけられる様々な質問に、次々と答えていく。涼宮ハルヒはこの状況に酔っていた。普段の満面の笑みが100Wだとすると、さしずめ1kWの笑顔で教室へ向かった。 涼宮ハルヒはまだ気付いてはいなかった。いや、知る由もなかった。人の好奇心が、時に残酷に人を傷付けることを。 涼宮ハルヒが北高の伝説にまた一つ名前を刻んだこの日、彼女は部室に来ることはなかった。 「えらいことになったなぁ……」 【すごいことになったなぁ……】 『彼』はやれやれ、を通り越して何と表現すれば良いのか分からない顔で言った。 「いやぁ、昨日の時点で、犯人の近くに涼宮さんがおることは把握しとったんですが、『機関』の決定は、『涼宮ハルヒに捕り物をさせて満足させる』やったもんで、手ぇ出せんかったんですわ。まぁ、彼女の望み通り、犯人を捕まえて一躍時の人になりましたからな。こちらとしては『バイト』が当分無くなりそうで、万々歳ですわ。」 【いやぁ、昨日の時点で、犯人の近くに涼宮さんがいることは把握していたんですが、『機関』の決定は、『涼宮ハルヒに捕り物をさせて満足させる』だったもので、手が出せなかったのですよ。まぁ、彼女の望み通り、犯人を捕まえて一躍時の人になりましたからね。こちらとしては『バイト』が当分無くなりそうで、万々歳ですよ。】 古泉一樹が肩をすくめる。 「俺としては、今日には例の件を片付けたいと思(おも)とったけど、とてもそんなことできる状態違(ちゃ)うしな……どうしたもんか。」 【俺としては、今日には例の件を片付けたいと思ってたけど、とてもそんなことできる状態じゃないしな……どうしたもんか。】 「事の成り行きを見守る、でええんちゃいますか? 当分涼宮さんの精神状態は閉鎖空間を生み出す状態にはならへんでしょうし、なに、人の心は移ろいやすいもんやさかい、どうせすぐにいつもの日常に戻りますよって。」 【事の成り行きを見守る、で良いのではないですか? 当分涼宮さんの精神状態は閉鎖空間を生み出す状態にはならないでしょうし、なに、人の心は移ろいやすいものですから、どうせすぐにいつもの日常に戻りますよ。】 「そうなればええんやけどな。」 【そうなれば良いんだがな。】 『彼』は窓の外を見ながら、そう呟いた。 涼宮ハルヒへの取材はますます過熱していった。 最初は、『お手柄女子高生』だった。その日の昼には『お手柄美少女女子高生』に変わっていた。こうなると、人々の興味は『美少女女子高生』の私生活に移っていく。 まず、現在の涼宮ハルヒの生活として、『謎の部活「SOS団」の団長』が紹介された。しかし、このSOS団は学校側非公認であるため、学校側からの情報は得られない。生徒からも、『謎の活動』という情報しか得られないため、すぐに人々の興味から外れた。 次に、涼宮ハルヒのSOS団以外の学生生活に取材が進むと、世間の興味を大いにそそる事となった。すなわち、入学初日の涼宮ハルヒの自己紹介等、彼女の奇矯な振る舞いの数々。 『ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。』 涼宮ハルヒの呼称は『美少女女子高生はオカルトマニア』となった。 そして、涼宮ハルヒの中学時代のエピソード、特に『告白されても断らず、すぐに破局したこと』が紹介されると、世間の評判の方向性が決定付けられることとなった。 『オカルト女子高生はヤ○マンだった!』 『美少女は百合ゲラーがお好き』 週刊誌、スポーツ誌等がこぞって書き立てる。 当初は嬉々として取材に応じていた涼宮ハルヒも、この頃になると、 「うるさい!」 「写真撮んな!」 などと、取材を嫌がるようになっていた。その態度が取材陣をさらに煽る。 『ヤ○マン女子高生は変質者がお好き』 『哀れ変質者、オカルト女に貞操を散らす』 ネットワーク上では、巨大掲示板群に専用スレッドが立ち、涼宮ハルヒの顔写真を使ってグレイ形宇宙人と性交しているコラージュ等が作成され、「SS」と呼ばれる長短様々な小説風の文章が、無数の書き手によって多数掲載された。特に涼宮ハルヒをいじめるSSと、様々な人や人以外のありとあらゆる存在と性交させるSSは、それぞれ一つのジャンルとして、スレッドが乱立するほど人気となった。 この頃になると、日本各地から涼宮ハルヒの元を直接訪問し、宇宙人等の扮装をして告白してからかう行為や、怪談風、猥談風などいたずら電話を掛ける行為がしばしば見られるようになった。 涼宮ハルヒは次第に彼らの相手をしなくなったが、そうなるとますます彼らはいきり立ち、涼宮ハルヒに反応させようと、行動はますます過激になっていく。 たまりかねて涼宮ハルヒが反応すると、その様子が詳細に電子掲示板に書き込まれ、 『さすがハルにゃん!』 『モノが違うぜ……』 こう返すのが、ネットワーク上での定形文となった。 ついに涼宮ハルヒは、ネットワークを通して、無数の『好奇心』の観察対象となった。 涼宮ハルヒはあの日以来、部室に姿を見せなくなった。いや、部室に行けなくなった。 今や涼宮ハルヒはネットワーク上に多数存在するむき出しの好奇心の観察対象であり、どこに監視の目が潜んでいるかも分からない状態と自身は認識していた。自分に関わりがあると知れれば、他の団員も巻き添えにしてしまうと考えての行動だった。もちろん土日も不思議探索は行っていない。涼宮ハルヒは休日は自宅に引きこもっていた。 実際、涼宮ハルヒはその奇矯な振る舞いの過去ゆえに、何をしてもネットワーク上のむき出しの好奇心たちの関心を引き、それらを喜ばせる『燃料』を提供する存在となっていた。また、それに伴い表面上は気丈に振舞っているが、閉鎖空間の発生頻度、規模ともに増大した。古泉一樹も、ここ数日は『バイト』のため、学校にすら姿を見せていない。 「あたしにできるのは、これだけですから……こんなときやからこそ……こうやって、いつものようにみんなが揃うのを待ちたいんです……」 【あたしにできるのは、これだけですから……こんなときだからこそ……こうやって、いつものようにみんなが揃うのを待ちたいんです……】 朝比奈みくるは寂しげな笑顔で、今日も部室でお茶を淹れている。『彼』と、わたしと、朝比奈みくるの三人だけしかいない、団長不在の部室。 これがここ数日の部室の日常風景となった。 あの日から三週間が経っていた。 放課後の部室。『彼』がわたしに話しかけてきた。 「なあ、長門。その、頼みがあるんやけど……」 【なあ、長門。その、頼みがあるんだが……】 『彼』は恐る恐る口を開いた。 「こんなこと俺が頼むんは、正直どうかと思うけど、でも、どうしても頼みたい。今回の一件、なかったことにとは言わへん。それでは意味もないし。でも、あまりにも影響が大きすぎる。ハルヒも十分思い知ったことやと思うし、その、もうそろそろこの異常な状態を終わらせられへんか? ……情報操作で。」 【こんなこと俺が頼むのは、正直どうかと思うけど、でも、どうしても頼みたい。今回の一件、なかったことにとは言わない。それでは意味もないし。でも、あまりにも影響が大きすぎる。ハルヒも十分思い知ったことだと思うし、その、もうそろそろこの異常な状態を終わらせられないか? ……情報操作で。】 わたしは『彼』を見つめる。 「今回のことは、ハルヒにとって、良い薬になった。自分が他人にしたことと同じことが、何倍にもなって自分に跳ね返って来たんやからな。あいつにとって、人として成長するための良い経験になったと思う。でも、さすがにもうこれ以上は見てられへんわ。閉鎖空間がどうこうとか、そんな話違(ちゃ)うねん。良い経験とは言(ゆ)うても、これ以上続くんはあんまりやろ? これは、人として、友人として、ハルヒを思う俺の気持ちや。長門、お前もハルヒの友人として、あいつを助けてやってくれへんか?」 【今回のことは、ハルヒにとって、良い薬になった。自分が他人にしたことと同じことが、何倍にもなって自分に跳ね返って来たんだからな。あいつにとって、人として成長するための良い経験になったと思う。でも、さすがにもうこれ以上は見てられねえ。閉鎖空間がどうこうとか、そんな話じゃないんだ。良い経験とは言っても、これ以上続くのはあんまりだろ? これは、人として、友人として、ハルヒを思う俺の気持ちだ。長門、お前もハルヒの友人として、あいつを助けてやってくれないか?】 『彼』は手を合わせてわたしに頼み込む。 「……わかった。」 「ほんまか!?」 【本当か!?】 「ただし、わたしの独断で実行するわけにはいかない。情報統合思念体に許可を求める。許可が下りない場合、あなたの希望には応えられない。」 「ああ、それは分かっとぉから。」 【ああ、それは分かってるから。】 わたしは情報統合思念体と交信する。 「……許可が下りた。」 わたしは立ち上がり、言った。 「今殺到している人々が涼宮ハルヒへの興味を失うように情報操作を行う。」 「ああ、頼む。」 わたしは情報操作を開始した。 「……………………」 わたしは『彼』に向き直る。 「お、おい……どないしてん長門? 何でそんなに驚いた顔しとぉ!?」 【お、おい……どうしたんだ長門? 何でそんなに驚いた顔してる!?】 『彼』はわたしの微細な表情の変化がわかるらしい。あるいは、誰にでも分かるほどはっきりと、わたしの顔は驚きの表情を浮かべていたのだろうか。 「……信じられない。情報操作が弾かれた。」 「何(なん)やて!?」 【何だと!?】 「何度も情報介入を行ったが、すべて無効化された。」 「何(なん)でや……」 【何でだ……】 心当たりはある。 「恐らく涼宮ハルヒの意思。彼女は現状をありのまま受け入れることを望んでいると思われる。」 「マジか……」 「今の言い方は正確ではなかった。より厳密に言うと、一部を除いて現状をすべて受け入れたいと望んでいると思われる。」 「……その一部ってのは、何(なん)や?」 【……その一部ってのは、何(なん)だ?】 わたしは部室のパソコンを指差した。 「ネットワーク上に存在する、涼宮ハルヒの身元を特定できる個人情報。」 「! ……そういうことか……」 『彼』は納得した顔で言った。 「現在、ネットワーク上には、人間が『まとめサイト』と称する、今回の一連の出来事をまとめたwebサイトが構築されている。そこには人類の好奇心を満たすための様々な情報が集約され、世界中から参照できる状態になっている。直接身元を特定できる情報は掲載されてもすぐに削除されるが、一度ネットワーク上に情報が掲載されれば、すぐに無限に複製される。よって、一度ネットワーク上に存在した情報を消去するのは、人間には事実上不可能。半永久的にネットワーク上に情報が残ることになる。涼宮ハルヒの意思の影響は、このネットワーク上の情報については薄い。事実を正確に知れば、ネットワーク上の情報は消去したいと思うようになる可能性が高い。その時に情報介入すれば、消去できる。現実世界の状況は、涼宮ハルヒの意思が変わらない限り介入は不可能。」 「…………」 『彼』は沈黙を保っている。 「たぶん、へいき。」 わたしは言った。 「人間の興味の対象はすぐに変わる。あなた達の言葉に、そのような意味の格言があったはず。」 以前に本で見かけた。 「『人の噂も七十五日』。違う?」 わたしはそう言うと、首を傾げた。 ←Report.02|目次|Report.04→
https://w.atwiki.jp/gtavi_gta6/pages/2083.html
Vespucci Book Store 概要 解説 店舗、外見など 概要 日本語:ベスプッチ書店 業種:小売業 所在地:ベスプッチ - ベスプッチ運河 - ベイシティーアベニュー沿い。 解説 ロスサントスの数少ない本屋の一つ。 店舗、外見など
https://w.atwiki.jp/takeei/pages/26.html
BOOK(-1997) BOOK(1997-1999) BOOK(2000-2001) BOOK(2002) BOOK(2002-2004) BOOK(2005) BOOK(2006-2007) BOOK(2008-) [2005-B-44] 日本山岳会編著 「新日本山岳誌」ナカニシヤ出版 新日本山岳誌 [2005-B-45] 「ビジュアル学習 海のある地域のくらし」 旺文社 海のある地域のくらし (ビジュアル学習日本のくらし―くらべてわかる日本各地のさまざまな生活と知恵) [2005-B-46] 「北アルプスの自然と人」市立大町山岳博物館 [2005-B-47] 「新編 新しい社会科地図」東京書籍